
【必ずおさえておきたい!】日本在住外国人の「基本のビザ・在留資格」とは?
外国人の採用をするのに、必ず通らなければならないのが「在留資格」のトピック。
「在留資格って聞いたことはあるけど、どんなものなの?「ビザと在留資格ってよく聞くけど何が違うの?」「実際どれくらいの人が日本に来ているの?」「外国人を採用する時に注意すべきことは?」
そんな疑問をお持ちのみなさまに、在留資格についての知識をまとめてお伝えします。
ビザおよび在留資格とは
在留資格とは、外国人の方が日本に滞在するために必要な資格です。入国前に審査が行われ、審査に通過した外国人の方に在留資格認定証明書が発給されます。一方、ビザ(査証)は上陸を許可する、自国にある日本大使館または領事館から発給される証書です。
つまり、ビザは「入国許可の証明」、在留資格は「日本での滞在や活動の根拠となる資格」で、その目的は異なります。「滞在・活動許可=在留資格」、「入国許可=ビザ」と概念を分けて覚えておくことが大切です。日本に入国・長期滞在し、留学や就業など何らかの活動を行うには必ず2つとも必要になります。
在留資格はそれぞれの資格ごとに日本で行える活動は異なり、資格外の活動は原則できません。その内容は「出入国管理および難民認定法」という法律で定められています。また、在留資格には在留期限があり、同じ在留資格でも、日本で活動できる期間は人それぞれ異なります。
◇就労が認められる在留資格
(一部制限あり)
在留資格 |
本邦において行うことができる活動 |
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外交 |
日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 |
公用 |
日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。) |
教授 |
本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動 |
芸術 |
収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動(この表の興行の項に掲げる活動を除く。) |
宗教 |
外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 |
報道 |
外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 |
高度専門職1号 |
高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの |
高度専門職2号 |
1号に掲げる活動を行った者であって,その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動
|
経営・管理 |
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。) |
法律・会計業務 |
外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 |
医療 |
医師,歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 |
研究 |
本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(この表の教授の項に掲げる活動を除く。) |
教育 |
本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 |
技術・人文知識・国際業務 |
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,介護,興行の項に掲げる活動を除く。) |
企業内転勤 |
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動 |
介護 |
本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動 |
興行 |
演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。) |
技能 |
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 |
特定技能1号 |
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(入管法第2条の5第1項から第4項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 |
特定技能2号 |
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動 |
技能実習1号 |
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技能実習2号 |
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技能実習3号 |
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◇就労が認められない在留資格
(資格外活動許可を受けた場合は,一定の範囲内で就労が認められる)
在留資格 |
本邦において行うことができる活動 |
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文化活動 |
収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(この表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。) |
短期滞在 |
本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポ―ツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 |
留学 |
本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動 |
研修 |
本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。) |
家族滞在 |
この表の教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,文化活動,留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 |
◇就労の可否は指定される活動によるもの
在留資格 |
本邦において行うことができる活動 |
特定活動 |
法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 |
◇身分・地位に基づく在留資格(活動制限なし)
在留資格 |
本邦において行うことができる活動 |
永住者 |
法務大臣が永住を認める者 |
日本人の配偶者等 |
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 |
永住者の配偶者等 |
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 |
定住者 |
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 |
(引用)
出入国在留管理庁在「留資格一覧表(令和22年99月現在)」より
http://www.moj.go.jp/isa/content/930002260.pdf
2020年の厚生労働省の統計によると外国労働者の人数は約172万人。コロナの影響を受けるまでは下記のように右肩上がりでその数を伸ばしていました。
(引用)厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000590310.pdf
在留資格別の内訳でもっとも多いのが、日本人の配偶者がいる「身分又は地位に基づく在留資格」を有している方々です。
次に多いのが「技能実習」です。近年この資格での来日者は急増しており、労働者の3割以上を占めています。本来の目的は技術移転による国際貢献でしたが、労働力としての期待を持って受け入れられることが多く、低賃金長時間労働などの問題も発生していることから、国際的な批判も発生しています。
外国人を採用する際に在留資格で気を付けるべきこと
留学生が日本で就職するなど、外国人が日本に滞在する目的や活動が変わることはよくあります。、そこで気を付けなければいけないのが、有している在留資格も変更しないといけないということです 。
特に注意すべきは外国人の転職です。留学から就職や日本人と結婚など、大きな変化であれば在留資格を変更することは容易に想像できます。しかし、既に日本にいる外国人を企業が採用する場合は、まずその候補者の現在の在留資格が転職可能な在留資格かを確認する必要があります。例えば、先ほどの技能実習では転職が不可能となっているので、技能実習の在留資格で既に日本にいる方を採用することはできません。他にも英語講師を採用する際に、公立学校と英会話スクールで教えていた人では在留資格が異なります。多くの場合、 前者が「教育」、後者が「技術・人文知識・国際業務」でしょう。
また、候補者の経歴と職務を照らし合わせた時に、会社が申請する予定の在留資格に変更が可能か確認する必要があります。業界での経験年数や大卒等、一定の条件が必須の在留資格もありますので、細かく確認することが必要です。
さらに、前職と職務内容が同じ場合で変更の必要がない場合でも、在留資格の期限は必ず確認する必要があります。在留資格の期限が切れた状態で就労をさせてしまうと、法律違反となってしまいますので、必ず確認しましょう。在留資格の期限を確認・更新するのは原則本人の責任ではありますが、雇用する会社として在留資格期限切れで働けないという辞退を未然に防ぐため、人事側で在留資格期限をあらかじめ収拾し、事前に更新のリマインドをする会社も増えています。
フィリピンの方を採用する時は要注意!
また、採用する時に国ごとに異なるルールがあるため、注意が必要です。フィリピンの方採用する場合、在留資格とビザの取得に加え、海外雇用許可証(OEC)の取得が必ず必要になります。労働を目的として渡航するフィリピンの方は、 OECを取得せずに出国することは原則できません。また、フィリピンを出国する都度,取得する必要がありますので、雇用後もこの点は注意しましょう。
まとめ
ここまでビザ・在留資格の基本について解説してきました。いかがでしたでしょうか。
実際に在留資格の申請を近日行うので、もっと知りたい!という方に向けて、在留資格の新規申請・更新の基本的なステップを確認できるチェックリストを用意しました。
資料の最終ページには、在留資格の新規申請・更新が不許可にならないために留意するべきポイントもまとめています。是非ダウンロード頂き、参考にしてみてください。