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【外国人社員は育てられない?】 外国人社員への指導と教育のポイント

外国人社員を雇用している企業が年々増えています。厚生労働省の発表によると2020年においても在留外国人労働者の数は過去最高を更新しました。新型コロナウィルスの影響もあり2021年は見通しが立ちませんが、今後も増加傾向になるでしょう。少子高齢化が進む日本において、労働力確保のために外国人社員を雇用する企業は多いです。また、ダイバーシティ&インクルージョンという観点で外国人だけでなく、女性やシニアなどの多様性を活かし、新しい観点からイノベーションを生み出そうという動きも見えつつあります。

一方、外国人社員を受け入れる企業側にはまだまだ多くの課題があります。在留資格、雇用トラブル、言語、異文化コミュニケーション…あげたらきりがありません。

なかでも、人事担当者や外国籍社員を部下に持つ日本人上司の方からはよくこうしたお悩みを聞きます。

  • 外国人社員とうまくコミュニケーションが取れない
  • 外国人社員を指導しても正されない
  • 外国人社員の教育や研修がうまくいかない
  • 外国人社員が言うことを聞いてくれない

したがって、本記事を通じてお伝えしたいことは次の通りです。

  • 外国人社員とのコミュニケーションがうまくいく
  • 外国人社員への指導がスムーズになる
  • 外国人社員への教育や研修の効果が上がる
  • 外国人社員が会社の言うことに耳を傾けてくれる


なお、記事をすべて読み込む時間がない方向けにはこちらの資料をダウンロードしてください。外国人社員とのコミュニケーションのコツをはじめとするポイントをまとめています。


目次[非表示]

  1. 1.人を「育てる」「指導する」という考え方を捨てる
    1. 1.1.人は、自ら成長していくほかない
    2. 1.2.上司や会社側がすべきことは「気づき」を得るための設計
  2. 2.外国人社員の言動を望ましい方向に導くステップ
    1. 2.1.「表層・深層 x 好ましくない・好ましいフレーム
    2. 2.2.望ましい言動だけを伝えても、本質的には変わらない
    3. 2.3.望ましい言動を導くには、望ましい考え方や前提を身に着けてもらう必要がある
    4. 2.4.外国人社員が持っている考え方や前提は多種多様
  3. 3.外国人社員が持ちうる考え方や前提とは
    1. 3.1.時間観:モノクロニック vs ポリクロニック
    2. 3.2.コミュニケーション:ハイコンテクスト vs ローコンテクスト
    3. 3.3.組織観:アメーバ型 vs ピラミッド型
    4. 3.4.リスク:回避 vs 許容
  4. 4.まとめ

人を「育てる」「指導する」という考え方を捨てる

外国人社員に限らず、人事担当者や上司の方がまず持つべきスタンスをお伝えします。それは「人は育てられない」「人は指導できない」ということです。あえて極に振った表現のように聞こえますが、実は大事な観点です。「俺が教えたら間違いない」「この研修をやれば次の役職にあげられる」というように考える方もいらっしゃるかと思います。部下を迎えるという意味において、その責任を持つスタンスはまさしく必要なことです。しかし、育成させられる側の人からしたときに、そうした指導や研修に効果があるのか、ということが重要になってきます。人によっては上司との相性が合わず、指導内容を取り込めない人も少なくありません。


人は、自ら成長していくほかない

では、どうすれば良いのでしょうか?放っておくしかないのでしょうか?決してそんなことはありません。

「経験学習モデル」という理論をご存知でしょうか?デイビッド・コルブという学者が提唱したモデルで、人が経験から学習し、いかに能力開発につなげているのか、ということをまとめた理論です。詳細はこちらの記事や「経験学習サイクル」で検索してみてください。かいつまんでお伝えすると、「具体的な経験」→「振り返り」→「概念化」→「実践・試行」というサイクルを通じて、人は成長していくということです。つまり、他人からの助言や研修よりも、自らの経験から得た「気づき」を通じて新たな学習をしていく、成長していくということです。


上司や会社側がすべきことは「気づき」を得るための設計

この経験学習サイクルから分かることは、上司や会社側がすべきことはいかに良質な気づきをたくさん社員に届けられるか、です。適切な経験、つまり仕事を与え、得られる振り返りや概念を手助けし、また挑戦する機会を提供する。これを頻度高くサイクルを回せるよう設計することが雇用する側が考えるべきことです。上司の指導や会社が提供する研修はあくまで気づきを得るためのきっかけにすぎません。しかし、そのきっかけすらなければ、外国人社員は成長することなく、最悪の場合キャリアを見失い、自然と退職してしまうでしょう。上司や人事側が考えるべきは、成長の機会をいかに提供できるかになります。


外国人社員の言動を望ましい方向に導くステップ

ここまで人は育てられない、むしろ自分で育っていくためのきっかけを提供することが大事である、ということをお話ししました。何かの助言や指導だけで人は簡単には変われないということです。

外国人社員に対してであれば、業務上のノウハウややり方を教えるだけでなく、日本や会社としての慣習やルールなどを教えないといけません。しかし、前述の通り、「こうやって」と言っただけで変わることは稀です。さらに、仮に変わったとしても、それが一時的なものであれば意味がありません。

では、どのように外国人社員に望ましい言動をとってもらえるよう導いていけば良いのでしょうか。


「表層・深層 x 好ましくない・好ましいフレーム

まず、認識しておくべきこととして、人が行動や判断をするときには何かしらの意味・背景があります。無意識的なものもあるでしょう。そうした意味・背景を無視し、指導や注意しても効果は薄いです。ここでご紹介したいのが次のフレームです。

左側にある表層がいわゆる言動、深層がその人が持つ考え方や価値観と言っても良いでしょう。そして、上に好ましくない・好ましいとありますが、これは上司や会社の持っている考えです。


望ましい言動だけを伝えても、本質的には変わらない

好ましくない表層(A)を、好ましい表層(D)に変えるために、直接的にAからDへと動かそうとしても効果は薄いです。これが再三お伝えしてきている、人を育てようというアクションに近しいものです。なぜなら、好ましくない言動を取っているのには何かしらの理由・背景があるからです。また、一時的に変わったとしても、続かないことがあるとお伝えしましたが、これはDの背景にある理由や意味を理解していないので、戻ってしまうということです。


望ましい言動を導くには、望ましい考え方や前提を身に着けてもらう必要がある

したがって、AからDへと移る前に、まずは好ましくない深層(B)にある外国人社員の考え方や価値観、文化的背景を知ることから始めましょう。そして、それを好ましい深層(C)へと変え、Dを引き出すのが望ましいです。よくある話を例にしましょう。

外国人社員と日本人社員の認識の差に「5分前行動」が挙げられます。会議にいつもギリギリな外国人社員と、時間通り会議を始められるように準備する日本人です。外国人社員に「5分前行動を徹底しろ!」と言ったとしても、果たしてどこまで効果があるでしょうか?それよりも、深層にある考え方を変えることが効果的です。もしかしたら会議時間はあくまで目安だと考えているかもしれません。それを、期限よりも早い時間を守れば余裕が生まれる、という考え方を持ってもらえたら、5分前行動も促しやすくなりますね。表層から変えるより、まず深層にアプローチする方が効果的であることが分かります。


外国人社員が持っている考え方や前提は多種多様

さて、このフレームを用いて外国人社員とコミュニケーションを図るうえでの最大のポイントは2つあります。

1つはBからCへと変えることです。ここでのアドバイスは「基準」「意味」「メリット」を伝えることです。前述の時間の話で言えば、「基準=5分前」「意味=時間的余裕を作る」となります。そして「メリット」は外国人社員本人にとってのメリットを示せると良いです。こうした時間的余裕を作れれば自分自身の仕事も捗る、などが挙げられます。

もう1つはBにある外国人社員が持っている考え方や価値観を把握することです。まさしく異文化理解であり、一つひとつの言動の裏にあるBを捉えることは一筋縄ではいきません。日本人にとって「まさかそんなことを・・・」と思うことも多くあるでしょう。次の章ではどんなBがあるのかご紹介します。


外国人社員が持ちうる考え方や前提とは

日本と海外の違いと一言で言っても、海外も様々です。すべてを網羅することはできませんが、代表的な異文化の違い、そして外国人社員を雇用している職場で起きやすい違いをご紹介します。なお、あくまでわかりやすくお伝えしているので、全ての外国人がご紹介するような違いを持っているとは限りません。「もしかしたらこの観点が違うかも」というヒントとして認識してもらえると幸いです。


時間観:モノクロニック vs ポリクロニック

前述の5分前行動の例でも分かる通り、時間に対する認識は日本人と外国人社員とでは大きく違います。モノクロニックは「モノ=単一」という意味合いから、時間は有限で一つしかないと考えます。もう少しわかりやすく言うと、時間を貴重な資源だと考え慎重かつ丁寧に扱うため、時間を無駄遣いすることを嫌います。日本人はまさしくモノクロニック文化に近いです。

一方、ポリクロニックは「ポリ=複数」という意味で、時間はたくさんあると考えます。つまり、時間を厳密に管理するのではなく、柔軟に対応しようとします。こうした文化では期限はあくまで目安と考え、期限内に終える重要性をモノクロニック文化ほど見出していません。


コミュニケーション:ハイコンテクスト vs ローコンテクスト

欲に耳にする言葉かと思います。日本人はハイコンテクストで、外国人社員はローコンテクストです。日本人は婉曲的かつ抽象的な表現を好みます。「あれやっておいて」「前回と同じでお願い」というように上司から外国人部下に指示がいくと、上司側の意図と全く違うものがあがってきたという経験は多いのではないでしょうか。日本人は文脈や背景を想像し、もしわからなかったら自分から聞きに行きます。いわば、受信者にコミュニケーションの責任があります。

一方、ローコンテクスト文化では言葉を言葉の意味そのまま受け取ります。曖昧な指示を出そうならむしろ批判されてしまいます。直接的かつ具体的にコミュニケーションをとるのが外国人社員にとっての普通です。「なぜくみ取ってもらえないだろう?」「考えたらわかるでしょう」といった相手任せのコミュニケーションは外国人社員に対しては通用しません。


組織観:アメーバ型 vs ピラミッド型

会社をはじめとする組織の中での役割の考え方においても違いがあります。

日本人はいわゆるアメーバ型です。役割の境界線を曖昧にし、間に落ちそうなものはお互いでカバーします。総合職や新卒採用といったものがあるのも日本の特徴です。なんでもする総合職や、スキルがなくて何もできない新人を迎え入れるのも、柔軟に対応しようという意識の表れかもしれません。

一方、外国人社員が慣れ親しんでいるのはピラミッド型です。最近ではジョブ型雇用という用にも言われていますが、役割範囲が明確に区切られ、具体的な業務が分かります。そして、役割範囲以外のことを行うことを嫌います。これは決して他人を助けたくないという意識からくるものではなく、「与えられた仕事を全うするのがプロ」「他人の仕事を助けるのは、その人を無能と言っていることに等しい」と考えるからです。こうした外国人社員に「もっと積極的に自分の仕事を奪いに来てほしい」と最初から期待しても難しいです。


リスク:回避 vs 許容

物事を判断していく上でリスクはつきものです。しかし、このリスクとの付き合い方に対しても、文化の違いがあります。

日本人はリスクを回避しようとする傾向が強いです。悲観的に物事を捉え、確実性の高い選択肢を取ろうします。また、状況がはっきり見えない中では決断はせず、リスクやリターンが可視化された状態で判断しようとします。したがって、日本人は意思決定をするのに時間がかかると言われます。「日本企業は交渉の場でいつも『本社と相談してきます』と言って、その場で決めない」と言われる所以はリスク回避傾向にあるからです。

外国人社員はいかにリスクを取っていくのかを考えます。これは決して無鉄砲であるということではありません。リスク度合いは把握しますが、絶対にリスクを回避しようと考えるのではなく、どれくらいだったら許容できるのかを考えます。そして、仮に失敗したとしても、立て直せばよいと考えるからです。社の命運をかけた決断であれば慎重になるかもしれませんが、新サービスであれば、いくらまでならOKというハードルだけ設け、どんどん試行錯誤するのが、外国人社員の感覚です。「なぜ外国人社員は失敗を繰り返すんだろう」と思っている方がいらっしゃれば、それは失敗しながら軌道修正をするのが良いと考えているからかもしれません。


まとめ

これまで外国人社員を指導・教育するポイントをお伝えしてきました。


  • 人を「育てる」「指導する」という考え方を捨てる
    • 人は育てられない。自ら成長していくほかない
    • 上司や会社側がすべきことは「気づき」を得るための設計
  • 外国人社員の言動を望ましい方向に導くステップ
    • 「表層・深層 x 望ましくない・望ましい」フレーム
    • 望ましい言動だけを伝えても、本質的には変わらない
    • 望ましい言動を導くには、望ましい考え方や前提を身に着けてもらう必要がある
    • 外国人社員が持っている考え方や前提は多種多様
  • 外国人社員が持ちうる考え方や前提とは
    • 時間観:モノクロニック vs ポリクロニック
    • コミュニケーション:ハイコンテクスト vs ローコンテクスト
    • 組織観:アメーバ型 vs ピラミッド型
    • リスク:回避 vs 許容

もし具体的な外国人社員への指導方法やコミュニケーション方法を知りたい方がいらっしゃればこちらの資料をご参考にしてください。

●コミュニケーションの具体例が知りたい

●外国人社員のマネジメント方法が知りたい

福知朋也
福知朋也

国際基督教大学教養学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。 IRコンサルティングのグループ会社に出向後、150名以上の外国籍をマネジメントするALT派遣会社に出向。その後、現職である株式会社リンクジャパンキャリアにてマーケティングユニットに配属。 幼少期はアメリカで過ごし、帰国子女としての経験がありながらも、外国籍社員との仕事で苦労したことをお届けします。プライベートでは1児の父。

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