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日本企業における外国人管理職の現状は?登用のメリットと注意点

2015年、東京証券取引所と政府によって企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が導入されました。現在、管理職への女性や外国人の登用が進むよう、政府は企業に対して自主的な数値目標と達成状況の公表を促しています。海外からの投資を増やして企業の競争力を高めることが目的です。一方、管理職などの多様性の確保が世界中の企業で進む中、日本企業における外国人管理職の雇用は実績としてまだ多くありません。日本の労働人口が減少する中、国籍問わず有能な人材を確保できなければ、グローバル市場で勝ち残っていくのは困難です。


そこで本記事では、数値目標の達成に向けて、外国人管理職を増やす施策を推進、もしくは検討し始めた経営者や人事担当者に向けて、日本企業の外国人管理職雇用実態、登用方法・メリットをご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.日本企業で働く外国人管理職はどのくらいいる?
  2. 2.外国人管理職の登用方法
    1. 2.1.①「国内」で外国人管理職を「内部登用」する
    2. 2.2.②「海外」から外国人管理職を「内部登用」する
    3. 2.3.③「国内」で外国人管理職を「外部調達」する
    4. 2.4.④「海外」から外国人管理職を「外部調達」する
    5. 2.5.登用の例
      1. 2.5.1.海外事業の立ち上げ責任者が今すぐ必要な場合
      2. 2.5.2.日本の文化・商習慣への適応を強く求める場合
      3. 2.5.3.外国人管理職比率を大きく高めたい場合
      4. 2.5.4.なるべく費用をかけずに外国人管理職の増やしたい場合
  3. 3.外国人管理職を登用するメリット・意義
    1. 3.1.①  海外での事業展開をスムーズにできる
    2. 3.2.②  国内事業を進展させる
    3. 3.3.③  社員の意識変革
    4. 3.4.④  ロールモデルができる
  4. 4.まとめ


日本企業で働く外国人管理職はどのくらいいる?

日本企業で働く外国籍管理職は全体的に少ないですが、年々増加傾向です。外国人管理職の比率をみると、2011 年度は 0.2%でしたが、2015 年度には 0.4%に上昇しています。1%にも満たない低い水準で推移しているのが実態です。


なお、7割近くの企業には外国人管理職がいません。一方、2015年になると、外国人管理職比率が10%を超える企業が登場しており、外国人管理職の登用に積極的な企業が出てきています。


出典:株式会社大和総研 政策調査部 主任研究員 伊藤正晴(2018)”ダイバーシティと企業パフォーマンス(1)~日本企業における女性や外国人に関するダイバーシティの状況~”. 株式会社大和総研. 2018-06-06. https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/esg/20180606_020134.pdf, (参照2021-09-29)


外国人管理職の登用方法

外国人管理職の登用方法は、企業のビジネス環境や体制に応じて選択することになります。まず、外国人管理職を「内部登用」するか「外部調達」するかに二分できます。さらに、「国内」もしくは「海外」どちらで探すかも観点の1つです。以下、登用方法を4種類に分けて、「スピード」「質」「量」「コスト」の4軸で比較しました。


①「国内」で外国人管理職を「内部登用」する

●スピード

管理職未経験からスタートするので、育成には当然時間がかかります。しかし、日本語や日本文化に慣れ親しんだ留学生や日本企業での勤務経験者から採用すれば、日本人同様にキャリアを築くことが期待できます。


●質

前述の通り、時間がかかる一方、自社理解を持った管理職となるでしょう。外国人ならではの海外市場への洞察なども備えているので、大きく期待ができます。ただし、外国人社員の中には日本での生活を望む方もいらっしゃいます。中には、海外子会社勤務の可能性を示唆した途端、たちまち仕事へのモチベーションを落とす可能性があります。本人のキャリアプランを確認しながら管理職育成を進めるのがポイントです。


●量  

外国人管理職を内部登用する最大のメリットの1つが量です。前述の通り、日本にいる外国人管理職は少なく、外部調達は難易度が高いです。しかし、既存社員からの内部登用であれば、育成を経て量を生み出すことができます。


●コスト

外国人管理職を内部登用する最大のメリットのもう1つがコストです。他社員と同様に育成コストはかかりますが、獲得にかかるコストはありません。


②「海外」から外国人管理職を「内部登用」する

●スピード

管理職未経験からスタートするので、育成には当然時間がかかります。短期的には、在留資格などの手続きに時間がかかります。長期的には、業務内容や期待する役割によって、日本の言語・文化・商習慣といった部分をどこまで習得必須とするかで、もう少し長く見積もる必要があるでしょう。


●質

管理職経験はありませんが、海外市場や商習慣、組織内部の状況などを十分理解して組織をマネジメントできる管理職へと育成できるのはメリットです。


●量

より多くの外国人管理職を登用したいのであれば、海外子会社などから内部登用を検討するとよいでしょう。国際経営開発研究所 (IMD) が毎年「世界競争力ランキング」を発表しています。世界の主要60か国と地域を対象に「企業にとってビジネスをしやすい環境がどれほど整っているか」を測るランキングであり、世界各国の経営層や投資家が参考にしています。2021年、日本は31位でした。1996年までは5位以内を維持していましたが、1997年以降低水準をたどっています。外国人が日本に来て働く魅力は低く、海外からの外部調達は難易度が高いと言えます。


出典:World Competitiveness Center. ”World Competitiveness Ranking 2021 Results”. International Institute for Management Development. 2021-06-17. https://www.imd.org/centers/world-competitiveness-center/rankings/world-competitiveness/, (参照2021-09-29)


●コスト

内部登用は外部調達よりもコストを抑えられます。一方、海外から連れてくる際は渡航費や手当など追加費用がかかる可能性があります。さらに、日本本社と海外子会社の人事制度を照らし合わせ、報酬や等級の調整などが発生する可能性もあります。


③「国内」で外国人管理職を「外部調達」する

●スピード

既に日本企業で管理職経験があるので、すぐに力を発揮できます。日本語力や日本文化、商習慣への知識といった部分も伴えば、さらに適応は早いでしょう。ただし、前述の通り、日本で働く外国人管理職が少ないので、適任者が見つかるまで時間がかかる可能性があります。


●質

日本企業での管理職経験や商習慣の理解を活かせるので、日本と海外両方の経営・マネジメントの視点を即取り込めることが期待できます。


●量

前述の通り、日本で働く外国人管理職は少ないので、量の確保はあまり期待できません。


●コスト

人材紹介では経験者採用は未経験者採用よりも紹介料が高くなります。また、求人広告はコストを抑えることは可能ですが、優秀な人と出会える可能性は低く、長期戦となると出費は増える可能性があります。


④「海外」から外国人管理職を「外部調達」する

●スピード

既に管理職経験があるので、すぐに力を発揮できます。ただし、日本の言語・文化・商習慣といった部分をどこまで求めるかによって、採用できるかが変わります。また、IMDによる「世界競争力ランキング」の通り、日本でビジネスする魅力の低さから、適任者が見つかったとしても、日本に来たくないとなる可能性があります。結果、見つかるまで時間がかかってしまいます。


●質

日本人にはない新しい経営・マネジメントの視点を即取り込める点はメリットでしょう。一方、日本企業での管理職経験がなく、日本の言語・文化・商習慣にも馴染みがない場合が多いので、一度慣れ親しんだ自国流のマネジメントスタイルを強行して失敗する可能性もあります。組織全体のパフォーマンスが落ちないよう、管理職に期待される役割と行動を初期段階で確認する必要があります。


●量

海外市場の方が国内市場よりも管理職経験者は多くいるでしょう。数を追うのであれば、海外から採用する方が可能性があります。一方、海外の管理職クラスから見た日本はあまり魅力的な国ではありません。中には日本が好きな人と出会えることもあるでしょうが、企業としてのアピールが重要となります。


●コスト

経験者採用は未経験者採用よりも人材紹介会社に対する紹介料が高くなります。さらに、現地での採用活動費や渡航費、その他手当なども追加費用としてかかります。


【まとめ】


登用の例

上記4種類の登用方法について、どのようなケースに、どの方法が適しているか、事例をご紹介します。

海外事業の立ち上げ責任者が今すぐ必要な場合

外部調達がおすすめ。戦略の立案・決定などのコア業務や難易度の高い交渉など、より難しい舵取りを任せられます。また、外国人ならではの感性や国際感覚に加えて、管理職経験や特定業界での実務経験が長いので、海外事業立ち上げの旗振り役として適任です。一方、日本で探す場合や日本本社勤務の場合、適任者探しに時間がかかる可能性があります。


日本の文化・商習慣への適応を強く求める場合

メンバークラスからの育成がおすすめ。時間はかかりますが、自社の企業文化や商習慣を熟知してチームをマネジメントできる人材を味方につけられるメリットがあります。日本企業で管理職経験のある外国人管理職を外部調達できると一番よいですが、母数が少なく現実的ではありません。


外国人管理職比率を大きく高めたい場合

海外からの内部登用がおすすめ。限られた国内市場より海外で探すほうが、伸びしろの大きい候補者に沢山で会える可能性があります。日本企業で既に働いている、もしくは海外から日本に来て働く意思のある外国人管理職は少ないので、外部調達は向きません。


なるべく費用をかけずに外国人管理職の増やしたい場合

日本国内での内部登用がおすすめ。新たな採用コストや海外子会社などから連れてくる場合に必要な渡航費や手当などがかかりません。


外国人管理職を登用するメリット・意義

外国人管理職の登用を促進したくても、社内の理解が十分に得られなければ上手く進みません。次に、企業の目指す事業ゴールの達成に向けて、外国人管理職を「あえて」登用するメリットを4つご紹介します。


①  海外での事業展開をスムーズにできる

海外展開における新規顧客獲得では、言語や文化の壁がつきまといます。そこで、外国語に堪能、かつ現地の商習慣を理解する外国人がいれば、海外の顧客やパートナー企業との意思疎通がよりスムーズになることが期待できます。また、外国人が現地の状況を肌感覚で把握して集める情報やアイデアは、社内での施策決定において説得力が高いです。外国人材目線での商品開発やサービス提供によるビジネス促進も期待できます。さらに、管理職クラスになると、通訳・翻訳といった補助的業務よりも、戦略の立案・決定などコア業務や難易度の高い交渉など、より難しい舵取りを任せられます。海外複数国を横断するような大規模なプロジェクトにも適任でしょう。


②  国内事業を進展させる

国内事業においても外国人管理職の活用は有効です。日本国内においても、インターネットの普及やグローバル化によって、消費者は目新しい商品サービスやトレンドに一層敏感になっています。その上、技術の進歩とともに商品サービスの流行り廃れのサイクルは早まるばかりです。時には既存概念を大きく覆す必要もでてくるでしょう。これまでとは異なる新鮮な発想や視点、専門スキルを持つ人材が重宝されるようになります。そこで外国人ならではの視点やアイデアを取り入れると、新しい風が生まれます。一般的に、外国人はスペシャリスト指向(通年採用、職務別採用)で、日本人はジェネラリスト指向(新卒一括採用、総合職採用)と呼ばれます。外国人管理職なら、日本では見つからない専門性の高いスキルを持った人材を確保できる可能性があります。また、管理職経験を活かして、組織全体に働きかけ、新たな視点を提案できるでしょう。


③  社員の意識変革

外国人管理職の存在が日本人社員に新たな「気づき」をもたらすこともあります。文化背景の異なる外国人管理職の下で働くと、日本人社員は否応なく様々な違いを目の当たりにし、当たり前に捉えてきた自文化と比較する機会が増えます。その結果、社員の意識改革や職場環境の改善、生産性の向上などにつながるメリットがあります。例えば、成果重視の外国人管理職のマネジメントや評価方法に影響を受けて、プロセスよりも成果が重視されるようになり、無駄な長時間労働が減った企業もあります。一方、注意したいのは、外国人管理職を登用さえすれば、全ての企業が一様に恩恵を受けられるとは限らない点です。よくあるのは、「外国人管理職はどのように社内にイノベーションを起こし、海外ビジネスを成功に導いてくれるか」や「外国人管理職には日本の文化や商習慣に適合してもらいたい」など、受け身な考え方です。外国人管理職側のみに変化を期待し、日本企業や日本人社員側はあくまで現状維持の姿勢に徹するケースがみられます。変革には、日本人と外国人の双方が共に考え、柔軟に変化しようとするスタンスが求められます。


④  ロールモデルができる

「外国人社員の比率を高めたい」や「既存の外国人社員の定着率を高めたい」と考える企業にとって、外国人管理職の存在は有効です。外国人社員の離職理由としてよくあげられるのは、給料やキャリア、人間関係に関わるものです。なかでも、日本企業の昇格・昇給のスピード遅さや年功序列制度は外国人社員の不満につながりやすく、「国籍で差をつけられている」や「自分の成果は無視されている」、「キャリアアップのイメージがわからない」などの悩みを抱える外国人社員が多くいます。しかし、成功体験を積んだ外国人管理職が一人でもいると様子が変わってきます。社会心理学等をもとに、弊社グループが整理した、人が組織に所属する魅力要因のフレームワーク「4P」を基にすると、人が企業に所属する理由の1つに「人の魅力」があります。目標となる魅力的な外国人管理職の存在は、その他外国人社員のモチベーションによい影響を与え、社内の活性化や定着率向上につながるでしょう。


まとめ

日本企業で働く外国人管理職は多くありません。しかし、上昇率は小さいものの年々増加傾向であり、外国人管理職比率が10%を超えるような、登用に積極的な企業も出てきています。注意したいのは、企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)に後押しされる形で、数値目標がひとり歩きするケースです。外国人管理職を登用する意義が社内で十分に共有されず、闇雲に外国人管理職が増えれば、後々現場社員にしわ寄せがきます。多様な価値観を取り込むに留まらず、それをどのように企業の強みに変えていくか、どのように企業のゴールを達成するか、といったように、外国人管理職と日本企業・社員の双方が能動的に考え、行動を起こさなければ、よい変化は生まれません。外国人管理職を登用するメリットを最大限活かせる環境を社内全員を巻き込んで整備した上で、外国人管理職の登用を推進しましょう。

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