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外国人管理職を登用するなら!陥りやすい落とし穴&命運を分ける4つの行動

2015年、東京証券取引所と政府によって企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が導入されました。海外からの投資を増やして企業の競争力を高めることが目的です。そのため、管理職への女性や外国人の登用が進むよう、政府は企業に対して自主的な数値目標と達成状況の公表を促しています。日本企業における外国人管理職の登用の実績としては、まだ少ないものの少しずつ増えてきています外国人管理職の登用の現状、登用方法、メリットについては記事前編をご覧ください。外国人社員を将来の管理職候補として新たに採用したり、内部調達したりを検討する企業には、下記のような課題がよくきかれます。


  • 外国人管理職は過去に前例がなく、適切な導き方がわからない
  • 将来の管理職候補として期待していたのに辞めてしまった
  • 外国人管理職の言動を自社の理想にフィットさせたい


日本企業で働く外国人管理職がそもそも少ない中、登用する際に直面しやすい課題や留意点をイメージできる人は少ないのが現状です。よくある課題は、外国人管理職を登用しても、価値観の違いを超えて「インクルージョン」されていない状態が起きていることです。例えば、外国人管理職に日本人管理職と同様の言動を期待するなど、無意識のうちに「同化」を迫っているケースがみられます。せっかくの多様性を上手く活用できていない状態です。今後、企業の持続可能な発展には、人材や組織の在り方、業務プロセス、働き方といった全社的な取り組みに外国人管理職の登用策を盛り込み、実行することが求められます。


そこで本記事では、いざ既存の外国人社員を将来の管理職として育成する際、または外国人管理職を外部から迎え入れる際、日本人と外国人双方が認識すべき留意点や自社ビジネスを成功に導く管理職育成のポイントをご紹介します。



目次[非表示]

  1. 1.管理職に求められる役割・行動
    1. 1.1.4つの役割
    2. 1.2.4つの行動
  2. 2.日本と海外で異なる管理職およびリーダーシップ像
  3. 3.外国人管理職を育てるコミュニケーションのポイント
    1. 3.1.【情報提供】ケース:外国籍管理職に職務範囲を拡大してもらいたい時
    2. 3.2.【情報収集】ケース:日本人メンバーとの接し方を改善してもらいたい時
  4. 4.まとめ


記事をすべて読み込む時間がない方はこちらの資料をダウンロードいただけます。



管理職に求められる役割・行動

4つの役割

親会社リンクアンドモチベーションの見解を参考にすると、管理職全般に求められるマネジメントは、国籍の違いに関係なく、下記4領域にわけられます。

ビジョンマネジメント:ビジョンの策定と浸透
戦略マネジメント:外部環境の把握とビジネスプロセスの最適化
PDCAマネジメント:業務計画の策定と現場の問題解決
メンバーマネジメント:メンバーの意欲向上と能力向上

出典:株式会社リンクアンドモチベーション_管理職研修の内容と目的は?マネージャー等の管理職に必要な能力_マネジャーに求められる役割


①   「ビジョンマネジメント」
全ての会社は、誰かの「何かをしたい」という思いから始まります。経営者のビジョンが現場でしっかりと実行されている組織は好業績なことが多いです。そのような企業では、管理職が経営者と現場メンバーのコミュニケーションのつなぎ目(=結節点)として機能しています。管理職の理解と伝達が伴わなければ、たとえ経営者が100%完璧な戦略を立てても、現場での実現度合いは著しく低下してしまいます。


②   「戦略マネジメント」
次に、ビジョンをどの事業で実現するか戦略を立てます。戦略マネジメントでは、市場や競合など外部環境を分析したり、ビジネスモデルやプロセスを最適化したりします。


③   「PDCAマネジメント」
事業戦略を実行に移し始めたら、もとに立てた計画や目標の進捗度合いを定期的に確認し、対策を話し合います。


④   「メンバーマネジメント」
実際にPDCAを回す上で欠かせない、社員一人ひとりの意欲や能力向上をマネジメントします。


上記4つが全てつながっている状態が企業経営において重要です。つまり、管理職は経営者と現場メンバーの結節点として、会社・経営陣の理念に沿った判断や行動を体現すること、そして、そこに現場メンバーの思考と行動を近づけて士気を高めることで、組織を目標達成に導くことが求められます。その意味で、管理職の役割は単なる「人材の管理」でなく、「事業の創造」も主体的に担っていると言えます。


4つの行動

上記役割を全うするために管理職に求められる行動は4つです。行動についても、国籍の違いに関わらず全ての管理職に求められ、これらをまんべんなく実行することが重要です。


①   「情報提供」
顧客ニーズや競合の動向などの外部情報、また、目標や役割や具体的戦略など業務遂行にあたって必要な情報を経営陣と現場メンバーどちらに対しても滞りなく伝達することが重要です。


②   「情報収集」
様々な立場・役割のメンバーで構成される組織を機能させるには情報の集約が必要不可欠です。自部署内または他部署との連携状況、メンバーの持ち味や要望、業務の進捗状況や成果などを的確に把握することで、組織が成果を出せるようになります。


③   「判断行動」
管理職には迅速な意思決定と判断行動が求められます。そしてメンバーに対しても模範となるような存在であるべきです。さらに、行動指針、考え方、評価基準、成長の方向性を提示することで、公平な評価が可能となります。


④   「支援行動」
部下のパフォーマンス発揮を支援するには、やり方だけを伝えるのでは不十分です。困っているメンバーに学習機会や挑戦機会を提供したり、メンバーの成果を賞賛、権威譲渡したりすることで、本人が自ら業務成果を上げられるような状態をつくることが求められます。



日本と海外で異なる管理職およびリーダーシップ像

管理職の役割と行動は国籍によって変わらないとお伝えしましたが、実際、国籍によって理想のリーダーシップ像、アプローチ方法の濃淡が異なります。なぜならば、それらも各々の国民文化や習慣に根深い影響を受けているからです。したがって、各々の「当たり前」が異なる異文化間では、むやみに押し付けてしまうと反感を招き、組織状態が悪くなってしまいます。例えば、管理職に求められる行動を日本と海外で比較すると、下記のような違いが見られることがあります。


【情報提供】
日本
:仕事の役割範囲はあえて曖昧にして、組織全体で成果達成させる

海外:仕事の役割範囲を明確にして、担当範囲内で成果達成をコミットさせる


【情報収集】
日本
:管理職のアドバイスに対して素直に従うことを期待し、それに基づいた改善内容を積極的に情報収集する

海外:管理職のアドバイスに対する質問や反対意見はメンバーの熱意の表れと捉え、積極的に情報収集する


【判断行動】
日本:慎重にリスク回避しながら、ベストな選択肢を選ぶ

海外:どのリスクが少ないか検証し、試行錯誤しながら進む


【支援行動】
日本:婉曲的に褒める

海外:直接的に褒める


※上記違いの背景や日本企業で働く外国人管理職が直面する課題など、詳細はダウンロード資料をご覧ください。

なお、多種多様な国民文化を「海外」として一括りにできないので、下記は海外の国の一例と捉えてください。また、本記事で取り上げる、外国人の文化的特徴について、大前提、個性を無視した取り組みを推奨する訳ではないことをご留意願います。ここで書かれている内容はあくまで「ステレオタイプ」的な考えとして捉えていただければ幸いです。


外国人管理職を育てるコミュニケーションのポイント

前述の通り、管理職とは会社・経営陣の理念に沿った判断や行動を体現し、それにメンバーの思考と行動を近づけることで、組織を目標達成に導く存在です。したがって、管理職が企業の働き方にフィットしない言動をとることは組織全体にとって致命的と言えます。一方、フィットしない言動は「変われ」と言っても簡単に変わりません。仮に言動が変わったとしても、それは表層を真似ただけにすぎず、長続きしない可能性があります。後々業務のパフォーマンスや定着に影響を及ぼす可能性もあります。注目すべきは、日本企業の働き方にフィットしない言動(表層)のもとになる価値観や考え方(深層)です。異文化背景をもつ者同士が協働する時、言動のズレの原因は文化背景の違いよる「誤解」の場合が多く、まずは誤解を解くことから始めましょう。それぞれの言動と背景を理解しあってはじめて、メンバー全員が同じ方向を向くことができます。


●外国人管理職の言動を企業の理想によりフィットさせるステップ●

【ステップ①】文化の違いにより生じる誤解を解く
【ステップ②】企業側の真の意図を明確にする
【ステップ③】企業の働き方にフィットとした言動をアドバイスする(もしくは適切な言動を共に一から決める)


次に、例として、管理職に求められる4つの行動から「情報提供」と「情報収集」を取り上げます。上記ステップを当てはめながら、外国人管理職と日本企業がどのようなコミュニケーションをとるべきか、ご紹介します。


【情報提供】ケース:外国籍管理職に職務範囲を拡大してもらいたい時

(良くないアプローチ)

マーケティング部に所属する外国人管理職に、最終売上まで視野に入れた戦略立案を期待している。そこで、営業部を含めた全体的な業務改善を依頼した。ところが、自分の責任範囲外だからと断られた。「巡り巡って自分の成果やキャリアアップにも繋がるから、隣の部署の業務改善も他人事と思わずに関わってほしい」と伝えたが、当初の考え方から変化はなかった。


(良いアプローチ)

【ステップ①】文化の違いにより生じる誤解を解く

外国人管理職がなぜ「同僚の業務改善は自分の仕事ではない」と考えるのか、言動のもとになる考え方を確認しましょう。基本的な話ですが、日本と外国人で職務範囲の捉え方が異なります。日本人の働き方は個人の業務の境界線で曖昧です。自分の業務と直接的に関係がなくても柔軟に対応し、助け合う傾向があります。

一方、外国人の働き方は個人の裁量範囲が明確な場合が多いです。外国人が職務範囲をはみ出して仕事をしない背景の1つに、「他人の仕事を奪うことになる」という考え方があります。海外では職務別採用が一般的です。したがって、他人に仕事を踏み込まれると、従事する職務範囲内を全うできないので、即日解雇もあり得ます。ゆえに、そうしたことに関与したくないという意識が働きます。


【ステップ②】日本企業側の真の意図を明確にする

誤解を解くために、まず、日本では境界線をはみ出て仕事をしても、他人の仕事を奪うことにならないと伝えるとよいでしょう。さらに、日本企業の働き方の背景・メリットを根気強く発信することが必要です。例えば、「担当領域が曖昧な仕事を漏れなくフォローし合えるので企業全体に貢献できる」や「柔軟に助け合って働ける社員が高く評価される」や「担当外の職務も経験できるので、新しいスキルを獲得するチャンスがある」などです。


【ステップ③】日本企業の働き方にフィットとした言動をアドバイスする

異文化間のコミュニケーションにおいては、遠回しな表現をできるだけ避け、ストレートに伝えましょう。日本人は「阿吽の呼吸」を美徳とする文化背景から、詳しい背景を省略してもわかり合おうとする場面がありますが、外国人には通用しません。ステップ1&2を踏まえて、背景まで十分に理解してもらうことで、理想の言動へ導きましょう。


【情報収集】ケース:日本人メンバーとの接し方を改善してもらいたい時

(良くないアプローチ)

外国人管理職が日本人メンバークラスと十分なコミュニケーションをとれていないので、現場から意見をもっと吸い上げるように指示した。しかし、外国人管理職の言い分によると、たとえ状況を聞いても、いつも「大丈夫です」や「すみませんでした」ばかり。普段から質問も意見もあまり出てこないため、執拗に状況を聞き出すまで必要ない認識とのこと。[福知5] 


(良いアプローチ)

【ステップ①】文化の違いにより生じる誤解を解く

外国人管理職がなぜ「執拗に状況を聞く必要はない」と考えるのか、言動のもとになる考え方を確認しましょう。前述の通り、メンバーから管理職への質問や反論は仕事への熱意の現れと捉える外国人管理職もいます。これは上下関係が小さく、平等意識が高い国に多い考え方です。比較的対等なコミュニケーションが好まれ、考え方が一人ひとり違うのは当たり前と考えます。したがって、反論も含め、成果への貢献を考えて積極的に意見できる人こそが評価されます。

一方、日本は上位者に異議を唱えるなど、集団の調和を乱す行為は憚られる文化があります。本当は問題があるのに「大丈夫」とその場を取り繕うこともあります。日本人の態度は熱意の有無とは無関係にも関わらず、背景を知らない外国人管理職は、日本人メンバークラスには仕事に対する熱意がないと勘違いし、情報収集に意欲的になれない場合があります。


【ステップ②】日本企業側の真の意図を明確にする

そもそもなぜ情報収集を強化してもらいたいのか、日本企業側の意図を話すことが大事です。前述の「管理職に求められる役割」「管理職に求められる行動」を参考にしてみてください。さらに、良く言えば「従順」、悪く言えば「受動的」な日本人メンバーの態度の文化的背景を説明することも必要です。なぜ日本人メンバーが管理職に意見しにくい特徴が見られるのか、ノンバーバルコミュニケーション(表情・しぐさなど)や文脈などをヒントに、先ずは違いに寄り添って考えてもらうよう促しましょう。コミュニケーション方法を調整すれば、より実のある情報収集ができるようになるので、外国人管理職自身の成果創出にもメリットがあるという伝え方も納得感醸成につながるでしょう。


【ステップ③】日本企業の働き方にフィットとした言動をアドバイスする

「情報提供」と同様に、異文化間のコミュニケーションにおいては、直接的な表現が効果的です。「遠慮しているメンバーがいれば、意見や反論は大歓迎だと伝えて、まずは管理職側から情報を引き出してほしい」など、具体的な指示を与えてください。

「判断行動」「支援行動」に関わるケーススタディと対応策については、ダウンロード資料からご覧ください。


まとめ

外国人管理職の数値目標達成が一人歩きしている企業は少なくありません。今一度、組織の多様性を推進する目的に立ち返り、多様な人材が活き活きと働ける組織づくりが必要です。管理職に求められる役割と行動は国籍が違っても変わりませんが、国民文化の影響で、理想の管理職・リーダーシップ像やアプローチ方法の濃淡が異なります。上手にマネジメントするには、「管理職とはこうあるべき」という日本企業側の理想像をむやみに押し付けるのでなく、「情報提供」「情報収集」「判断行動」「支援行動」それぞれの行動ごとに、言動の深層部分を明らかすることから始めましょう。ただし、外国人管理職を特別な存在として扱わなければならないという思い込みは捨てた方がよいでしょう。時間をかけてでも、外国人管理職・候補者を一個人として捉えて、一人ひとりと丁寧に対話することが組織で活躍する外国人管理職を育成する鍵です。


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