
【これだけ知っておけば安心】日本に住み始める外国人従業員に必要な生活サポートとは?
採用した外国人が日本に住むことが決まったとき、ビザや在留資格以外に支援が必要なのが日本での生活サポートです。
「何を最低限の生活サポートとしておけば良いの?」「外国人だと日本人と何が違うの?」と何から手をつけたら良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
外国人の採用を考えている人事の方向けに、住居や携帯、役所手続き関連等、日本で安心して生活をスタートしてもらうために最低限おさえておくべきポイントをお伝えします。
目次[非表示]
- 1.住居探しのポイント
- 1.1.敷金・礼金の発生
- 1.2.ゴミ出しについて
- 1.3.ライフライン(ガス・水道・電気)について
- 1.4.自治会・町内会について
- 2.携帯契約のポイント
- 3.手続き関連のポイント
- 4.その他のサポート
- 4.1.買い物サポート
- 4.2.地図のインプット
- 4.3.緊急連絡先のインプット
- 5.その他留意点
- 6.まとめ
住居探しのポイント
住環境を整えることは、日本で快適に生活し仕事でパフォーマンスを出してもらうためにとても大切な要素です。
基本的な家探しのプロセスは同じですが、不動産会社によって対応が変わることがあります。まずは不動産会社には契約者が外国人であることを伝えましょう。もし採用予定の方が海外在住のため、対面での契約が今すぐにはできないことを伝えておくと後々トラブルが起きづらいです。どうしても契約は対面で必要、という場合は契約締結までホテルを確保する等、来日後の従業員の住環境を確保しておく必要があります。
一方、外国人の方にとって日本の住宅事情や賃貸事情は海外に比べて特殊です。最初に丁寧に説明をしておかないと後々大家さんやご近所とのトラブルに発展してしまう可能性もありますので、以下を説明しておきましょう。
敷金・礼金の発生
敷金・礼金は日本独自の制度で、海外にはないものです。家賃以外の高額の費用を初期に収めることに抵抗を感じる外国人は少なくありません。中には初期費用分のお金をすぐ準備できない人もいます。必ず説明し、納得してもらえない場合は敷金・礼金が低い、または発生しない不動産を選ぶ等が必要となります。
ゴミ出しについて
住居に住み始めてから起きやすいトラブルが、ゴミ出しの問題です。海外で日本ほど細かく分別している国は少ないです。また、地域によってルールが違うことも海外から見ると特殊な文化です。燃えるゴミ・燃えないゴミを出す曜日だけでなく、分別方法等、事細かに最初に地域のゴミ出しのルールについて説明し、守らないとご近所とトラブルになってしまうリスクも話しておきましょう。また、自治体のホームページ等でもゴミ捨てに関する資料を多言語で展開しているところもあります。
ライフライン(ガス・水道・電気)について
ガスの開栓や水道・電気の契約等、いわゆるライフラインのセットアップもサポートが必須の項目です。来日前に自分で契約の必要があることを伝え契約会社の目星をつけておくことも手ですが、ライフラインのセットアップははじめて日本に住む外国人にとってハードルの高いもの。住む予定の地域で人気の高い会社の契約を紹介し、契約をサポートすることを前提に考えていたほうが良いでしょう。
自治会・町内会について
住む地域やマンション・アパートによっては自治会や町内会への参加を必須としているところもあります。また、外国人で日本語話せないと住めない等もありますので、外国人従業員の住む家の料金や設備面、ゴミ出しルールに加え、コミュニティに関するルールも確認するようにしましょう。
また、悲しい話ですが外国人向けには住居の契約をしないという不動産や大家さんも存在します。上記の手間やそういった事実を受けて、社宅契約をする会社も増えてきています。すでに社宅がある場合はそこに入居させるほか、現在社宅がない場合も、今後継続して外国人を海外から採用する場合は社宅契約を考えることも1つの手です。
携帯契約のポイント
次に必要なのが携帯電話の契約です。携帯について、日本ではまだSIMフリーの考え方が普及し始めた段階ですが、海外では端末と通信プランを分けるのがメジャーです。セットで買うよりも、端末を母国から持ってきて、SIMを別で契約する人が圧倒的に多いです。
契約の際は母国での契約の解除とSIMロックの解除を忘れずにしてもらうようにしましょう。さらに、SIMは空港で受取りが可能な会社も増えています。空港で受け取れれば母国の家族とすぐに連絡することができ、心理的な安全や安心につながります。サポートをする側の負担も軽減されますので、積極的な利用をお薦めします。
また、ウォークインでの契約を受けつけている会社もありますが、事前に予約をした方が受取りもスムーズにできるため、事前予約をしておくよう伝えましょう。
手続き関連のポイント
役所手続き
日本に来てまず必要なのが役所手続きです。在留カードや住居に係る契約書等、必要な書類を持参し、転入届けの手続きを済ませましょう。必要な書類等は前もって自治体のウェブサイトで必ず確認することをお薦めします。
口座開設手続き
住民登録が完了したら、銀行で口座開設を行いましょう。契約書は難解な日本語が多くサインする箇所も多く不安を覚える外国人が多いため、できるだけ同行してサポートできると安心です。また、手続きでははんこを求められることもあるため、最低でも1つ作っておくことをお薦めします。
その他のサポート
買い物サポート
諸手続きが完了したら、生活を始めるのに最低限必要な買い物はサポートしましょう。ふとんや家電、調理器具は異国の地に来たばかりの状態で1人で買いそろえるのは難しいものです。よくあるのが、自分は寒さに強いと思った人が薄い布団を買ってしまい、実は住居がとても寒くて風邪を引いた、ということです。サポートの範囲に予め入れておきましょう。
地図のインプット
外国人従業員が生活する圏内にあるスーパーや薬局、コンビニ、郵便局等の情報はインプットしておきましょう。地図で示すだけではなく、できれば一緒に周囲をまわることで外国人従業員は安心して生活をスタートすることができます。
緊急連絡先のインプット
救急車および警察を呼ぶときに必要な番号は最初に伝えておきましょう。また、どうしても外国人従業員一人では対処できないトラブル等に出くわすことを想定し、会社の緊急連絡先や和英併記でトラブル時の会話例を記載したカードを渡しておくと便利です。他の方が外国人従業員に代わって会社に連絡を取り合ってくれることもあります。
その他留意点
医療
母国で使用している薬があれば、日本に持込が可能か確認したうえで持ってきてもらうようにしましょう。母国にあって日本にない健康食品や薬は存在します。それを持って来ずに日本で何らかの症状が現れると、薬を処方してもらうまでに時間がかかるばかりか、最悪の場合日本だと調達できないということにもなりかねません。良く確認して必要に応じて持ってきてもらうようにしましょう。
食事
アレルギーやベジタリアン、ハラル対応等がまだまだ進んでいるとは言えない日本。食品やレストランでの食事にはっきり表示されていない場合がほとんどです。食べれないものがある場合は、母国語と日本語の対応表を外国人従業員につくっておいてもらう等、事前に対策をしておくことが大切です。
車関連
自国で有効な自動車免許を保有している場合、国際免許証(IDP)の発行により最長1年間、日で運転を行うことが可能です。このIDPは日本入国後に取得はできませんので、必ず入国前に手続きを行うようにしましょう。IDPの取得に必要な書類と手続きは国によって多少異なりますが、通常は以下があれば取得が可能です。
- 有効期限内の運転免許証
- パスポートサイズの写真
- 申請料
また、IDPが発行された日、または入国した日から1年間経った後も日本で運転を続ける場合は日本の運転免許証を取得する必要があるため、ご注意ください。
日本に入国した後でも、自国で有効な運転免許証があれば切替の手続きは可能です。1年以上の滞在および運転が決まっている場合は、外国の免許証から日本の免許証への切り替え(外免切替)を検討することもおすすめします。
外免切替をおこなうためには、以下の2つの条件を満たすことが必要となります。
- 外国免許証が有効であること(有効期限の切れた免許証は切り替えできません)
- 外国免許証を取得した日から通算で3カ月以上その国に滞在したことが証明できること
運転免許センターでの外免切替の一般的な手順は次のとおりです。
- 申請書類提出
- 適性試験
- 交通規則の知識確認
- 運転技能の確認(運転免許センター内コースを実際に走行)
- 日本の運転免許証取得
提出書類、申請手数料、試験などの詳細については、住む予定の地域を管轄する各都道府県警察の運転免許センターに直接問い合わせるようにしてください。
まとめ
最後に、ご紹介した外国人従業員が日本に来る際にサポートが必要な項目を時系列にまとめると以下のようになります。
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●生活サポートの流れ
【来日2~3か月前】
- 住居探し & 契約
- 持ってくる薬・健康食品の確認
- アレルギーや食べられない食品の確認
【来日2~3週間前】
- 携帯(SIM)契約申込
【来日日~来日後2~3日間】
- 住居契約
- ライフラインの開設
- 携帯(SIM)契約
- 役所手続き
- 銀行口座開設
- 最低限の買い物サポート
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来日直後に必要な手続きに係る日数や2~3日必要だと考えておきましょう。来日後、職場で働き始めるまでに最低限確保しておくべき日数となります。
煩雑な手続きが多い日本で外国人が暮らしていくためには、初期段階で十分な生活サポートが求められます。かなり量が多いと感じる方もいるかもしれませんが、最初にしっかり準備ができると後々のトラブルを最小限におさえることができます。すると、外国人従業員と会社、双方のストレスが軽減され、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。しっかりとサポートを行いましょう。