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働きがい創出がSDGs目標達成になる?!外国人と働きやすい会社作りで、SDGs目標を達成しよう!

 「取引先がSDGsに力を入れている」「競合のあの企業が、SDGsで評価を上げ始めた」昨今、皆さんの耳にはそんな話が頻繁に入ってきているのではないでしょうか。国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」はビジネスにおいても世界共通のゴールと言っても過言ではありません。とはいえ、具体的にはどうSDGsに取り組めばいいのか?と頭を抱える担当者も多いことと思います。

 本稿では、外国人従業員を雇用することで自社社員の「働きがい」を創出でき、ひいてはSDGs目標を達成するためのナレッジをお伝えします。


目次[非表示]

  1. 1.SDGs持続可能な開発目標を知る
    1. 1.1.17の目標について
    2. 1.2.17の目標に対する169のターゲットについて
    3. 1.3.SDGsの達成は1つの目標に絞らなくてよい!
    4. 1.4.外国人雇用により達成できる目標は主に「8」と「10」
  2. 2.外国人雇用とSDGs目標の関連性を理解する
    1. 2.1.【8】働き甲斐も経済成長も
      1. 2.1.1.施策事例紹介
    2. 2.2.【10】人や国の不平等をなくそう
      1. 2.2.1.施策事例紹介
  3. 3.外国人を雇用する企業がSDGs目標を掲げるうえでやるべき大切なこと3つ
    1. 3.1.目標を設定する
    2. 3.2.経営と統合する
      1. 3.2.1.持続可能な目標を企業に定着させる
      2. 3.2.2.パートナーシップに取り組む
    3. 3.3.ステークホルダーに対し達成状況について報告をする
  4. 4.まとめ


SDGs持続可能な開発目標を知る

17の目標について

 SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標:の略称で、2015年9月、ニューヨークの国連本部で行われた国連サミットで採択された、国連加盟国193カ国が達成を目指す2016年から2030年までの国際目標です。

 貧困、気候変動、人種やジェンダーに起因する差別など、様々な地球規模の問題を解決するために、「誰一人取り残さない」という共通理念のもと、SDGsでは17の目標を設定しています。

 「17の目標」はよりよい未来を目指すための世界共通の目標であり、これらのことに無縁な人は地球上に誰ひとりいません。これらの問題を「自分ごと」として考え取り組むことで、様々な問題・課題は解決されていきます。


17の目標に対する169のターゲットについて

  17の目標を達成するために169のターゲットを設定しています。例えば、目標1「貧困をなくそう」は、ターゲットのひとつとして、「1日1.25$未満で生活する極度の貧困をなくす」ことを設定していますが、同時に「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる」といったターゲットも設定しており、1つの目標を達成するためには様々なターゲット設定が可能となります。

 また、目標1の達成には、目標1だけを見ればいいわけではなく、17の目標が相互に関連しています。目標1に対するターゲットを絞れば、目標4「質の高い教育をみんなに」や目標8「働き甲斐も経済成長も」等が深く関連していることが見えてきます。

(参照)
国連事務局の統計部が作成しているSDGsの SDGsの17ゴール・169ターゲット・232指標 (https://unstats.un.org/sdgs/indicators/indicators-list/

JAPAN SDGs Action Platform
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal1.html



SDGsの達成は1つの目標に絞らなくてよい!

 SDGsの各目標の背景には複雑な要因があり、相互に影響しあっています。簡単な例でいうと、目標12のターゲットの1つである「食品ロスの減少」を目指すと、目標8のターゲット「資源効率を漸進的に改善」の達成に寄与できます。その試みは飢餓で苦しむ人々に食料を回すことに繋がり、貧困の撲滅(目標1)に寄与できるかもしれません。また、食品ロスを無くす意識が低い人を減らすためには、教育による正しい知識の習得(目標4)が必要でしょう。このようにすべての目標が密接に関係しており、逆を言えば、他の目標を犠牲にした目標達成は評価されないということになります。

 次の3つの観点を持ち、知恵を絞って達成を目指すのがSDGsです。

  • 世界や社会ニーズに合わせた目標設定をすること
  • 外部の視点から必要な目標設定をすること
  • 実施する取り組み全体に「持続可能性」を組み込むこと

 そのうえで、相互に連関するSDGsの複数ゴールの同時解決(=マルチベネフィット)をもたらす取り組みを行うことが理想的と言われています。


(参考文献)株式会社技術評論社 「60分でわかる!SDGs超入門」(バウンド)

外国人雇用により達成できる目標は主に「8」と「10」

 外国人を雇用することで、SDGsの17の目標から2つの目標達成を目指すことができます。2つの目標について紹介します。

【8】働きがいも成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

【10】人や国の不平等をなくそう
各国内及び各国間の不平等を是正する


外国人雇用とSDGs目標の関連性を理解する

~目標を知り、外国人雇用をすることで達成できる優先課題を決定する~

【8】働き甲斐も経済成長も

 SDGs目標8の世界的な問題には何があるのかみていきましょう。国際連合広報センターの持続可能な開発目標(SDGs)報告2019と2021はこのように発表されています。

  • 後発開発途上国(開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々)の実質GDP成長率(2010年〜2017年)は4.8と、SDGsのターゲットで掲げている後発開発途上国の成長率7%を満たしていない
  • コロナ禍により2億5,500万人のフルタイム雇用に相当する仕事が失われた(世界金融危機時の約4倍)
  • 時給中央値は男性が女性を12%上回る
  • 世界の失業率は5%(2018年)
  • 若者の5分の1は教育にも仕事にも訓練にも参加していない状況

上記5つの世界的な問題を念頭に置きながら、取り組める課題を決定していく必要があります。


 SDGs目標8「働きがいも経済成長も」を達成するためには、生産的な雇用と「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を実現することが大切です。公正なグローバリゼーションと貧困削減が達成の鍵を握る要素となっています。失業や働きにくい職場環境を放置しておけば、社会不安が生じる可能性があります。


施策事例紹介

①カンボジアIT企業と業務委託契約成立。現地で2名の雇用を創出(ソーシャルマッチ株式会社)

 カンボジアでは働き先が少なく、非常に貧しい環境から抜け出すため、若者のタイへの出稼ぎが常態化している。その事態を改善すべく、ソーシャルマッチ株式会社が日本企業とカンボジアIT企業をマッチングさせ、カンボジア現地での雇用創出を実現した。

 カンボジアIT企業Aは、出稼ぎ労働者を減らすことをミッションに掲げ、国内での仕事を生み雇用を創出し、若者への無償のIT教育を行なっている。

 日本企業Bとの取引が継続的なものとなったため、カンボジアIT企業Aは新たに2名採用しカンボジア現地での雇用創出を実現。企業の継続的な発展が見込まれている。


※ソーシャルマッチ株式会社:出稼ぎ労働者を減らすカンボジアIT企業と業務委託契約成立。現地で2名の雇用を創出。

(参照)https://socialmatch.co.jp/case-it-gyoumuitaku/


②外国人社員の母国の風習を勘案して柔軟な休暇制度を用意する(技能実習生雇用企業)

 外国人社員の宗教や、母国の慣習では、日本とは異なる風習がある。ベトナム人社員は日本の正月ではなく、1月末から2月ごろに訪れる旧正月を非常に大切にしており、日本の正月における長期休暇は、外国人社員にとって必ずしも有用であるとは言えない。そこで、ベトナムの風習に合わせた長期休暇取得制度を作ることによって、外国人社員の働きがいを支援している。


【10】人や国の不平等をなくそう

 SDGs目標10の世界的な問題には何があるのか見ていきましょう。国際連合広報センターの持続可能な開発目標(SDGs)報告2021にはこのように発表されています。

  • コロナ禍により、金融危機以来の所得不平等縮小における前進が帳消しになる可能性がある
  • 世界人口に占める難民の割合が2010年以来倍増している(10万人に月311人が難民)
  • 2020年には、世界中の移住経路で4,186人が死亡または行方不明になっている

 上記3つの世界的な問題を念頭に置きながら、取り組める課題を決定していく必要があります。SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」を達成するためには、まずは国内および、国家間の不平等を無くすことが重要となります。


施策事例紹介

①外国人労働者の積極採用の結果、従業員の満足度が向上し離職率低下へ(株式会社髙坂工業)

 株式会社髙坂工業では、37年前から外国人労働者の積極採用を行っている。外国人労働者を受け入れることで、人種や文化、宗教、言語など多様な価値観や視点を社内に取り入れられるという考えを持ち、また、日本とは異なる文化や教育の中で生活してきた外国人労働者の視点や文化に触れることで、社内のグローバル化が図れ、企業全体が多角的に成長できると考えている。外国人労働者の存在がビジネスでの議論においても、いつもとは違ったアプローチでの展開が可能となり、新しいアイデアや課題に対する解決策の創出にも貢献している。また、外国人労働者の自国特有の知識や技術を呼び込むことで、企業技術のさらなる発展の狙いもある。社員雇用だけでなく外国人実習生・研修生の積極的な受け入れ体制も充実させている。

※株式会社髙坂工業SDGs10の取り組み
(参照)https://sdgs.kousaka-kougyou.com/


②20か国以上のネイティブ講師を年齢の隔てなく積極雇用(シェーン英会話)

英会話教室に置けるネイティブ講師の出身国は20ヶ国以上で、20代~60代までの幅広い年齢の講師が働いている。(イギリス30%, オーストラリア26%, アメリカ10%, カナダ6%, ニュージーランド2%, その他各国25%)

※SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けたシェーン英会話の取り組み
(参照)https://www.shane.co.jp/news/detail/id=45363


③外国人の雇用を促進する旅館(海栄RYOKANS)

 これまで中国、ブラジル、台湾、ベトナム、フィリピン、イタリア、モンゴル等から毎年インターンシップ、技能実習生、在留資格保持者、留学生アルバイトのほか、特定技能試験合格者、資格取得者等人材採用を積極的に行っている。今後のビジョンとして、5年後にはベトナム、台湾、ミャンマー出身者を中心に50〜60人の雇用を目指す。外国出店を念頭に、外国人従業員が帰国後にその施設でマネージャークラスを目指すことが出来るなど、日本と現地の間の人事交流に取り組んでいく。

※海栄RYOKANSの取り組み
(参照)https://www.kaiei-ryokans.com/about/sdgs.html


外国人を雇用する企業がSDGs目標を掲げるうえでやるべき大切なこと3つ

目標を設定する

 SDGsに取り組むために、まずは取り組むべき目標課題を決定する必要があります。自社のバリューチェーンをマッピングし、目標8と10の影響領域、そのほかの目標の影響領域を特定することが望ましいです。自社のバリューチェーンマッピングに下記資料12ページをご活用ください。

(参照)
https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf

 各企業の目標は、現在および将来の負の影響を抑制するのみならず、SDGsに正の貢献をする機会を提供するものになります。各企業の事業にとどまらず、バリューチェーン全体を向上させる機会にもなる可能性があります。

 SDGsは他に例を見ない、政治的な合意がある国際的に望ましいとされる達成目標です。アウトサイド・イン・アプローチを用いて、世界的な視点から何が必要かについて外部から検討し、それに基づいて目標を設定することにより、企業は現状の達成度と求められる達成度のギャップを埋めていくことができます。

 目標を設定したら、KPIを選択しましょう。進捗を促進、モニタリングして進捗状況について情報発信するためには、KPIの選択が重要です。KPIの選択には、具体的かつ測定可能で、期限を区切ったターゲットの基盤となるKPIをいくつか用意すると良いでしょう。企業は可能な限りその活動の影響または結果に直接対応するKPIを選択することを推奨します。また、一般的に使われている指標をKPIにすることも推奨したいです。これにより、企業間でデータの集約や比較が容易となるからです。

 特定部門がターゲットに対する進捗状況をモニタリングするためには、KPIを全社的に採用し、それに基づいて情報発信を行うことで進捗度合いが分かりやすくなります。

 目標を公表することも重要です。効果的な情報発信の手段となります。持続可能な開発に関する企業の志を示すことで、外部のステークホルダーとの建設的な対話の基盤にもなりえます。


経営と統合する

持続可能な目標を企業に定着させる

 組織改革を成功させるためには、その改革の種類を問わず、CEOや経営幹部による積極的なリーダシップが鍵となります。持続可能な目標の事業への統合のためには、経営トップの主導が重要です。

 持続可能な目標を組織内に確実に定着させるには、次に示す2つの原則が特に重要です。

  1. 事業として取り組む根拠を明確に伝え、持続可能な目標に向けた進展が企業価値を創造することについて、全社で共通の理解を醸成すること
  2. 部門や個人がSDGs目標の達成において果たす、具体的な役割を反映した特別報償を設けるなど、持続可能な目標を全社的な達成度の審査や報酬体系に組み込むこと

 効果を最大化するためには、売上高や生産性の分野に関する目標とともに、あらゆる財務目標、戦略目標、業務目標を含めた体系に不可分なものとして各企業の持続可能な目標を組み込むことが求められます。

パートナーシップに取り組む

 2014年に実施されたある調査によれば、調査対象となった3万8,000人の企業の役員・管理職のうち、90%が持続可能性の課題は企業単独では効果的に対処することは出来ないと回答した結果があります。

 協働を重視する姿勢は、SDGs目標17にもあるように、分野横断的なパートナーシップを組むことが重要となります。


 基本的に、企業は少なくとも次に示す3つのタイプのパートナーシップを検討するとよいです。

①バリューチェーン・パートナーシップ
バリューチェーン内の企業が相互補完的な技能・技術・資源を組み合わせて市場に新しいソリューションを提供

②セクター別イニシアチブ
業界全体の基準・慣行の引き上げと共通の課題の克服に向けた取り組みにおいて業界のリーダーが協力

③多様なステークホルダーによるパートナーシップ
行政、民間企業および市民社会組織が力を併せて複法的な課題に対処


SDGsは、共通の目標・優先課題群の下に、パートナーを結集させる力を持っています。

ステークホルダーに対し達成状況について報告をする

 効果的な報告は、信頼を醸成し価値創造を促進します。財務関係以外のデータや情報が事業の継続的な成功に果たす役割を担っているという認識が強まっています。企業は正規の報告書だけでなく、様々な方法を活用して持続可能性に関する戦略や達成度についてコミュニケーションを行う傾向が増しています。

 持続可能性に関する報告は当初、信頼の醸成と社会的評価の向上の手段として位置づけられていました。しかし現在では、持続可能な意思決定プロセスを支援し、組織発展を促進し、達成度を向上させ、ステークホルダーと協働し、投資を呼び込むための戦略的なツールに変容しています。

(引用:SDGs の企業行動指針 —SDGs を企業はどう活用するかー)https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf

まとめ

本稿では、外国人従業員を雇用する事で達成できるSDGs目標について紹介しました。抑えるべきポイントは主に以下の点です。

  1. 17の目標に対する169のターゲットについて知ることから始める
  2. 達成目標は1つに絞らなくてよい!
  3. 外国人雇用により達成できる目標は主に8と10
  4. 目標設定にはアウトサイド・イン・アプローチを用いる
  5. 目標設定後はKPIを選択する
  6. 経営統合するため、全社にSDGs目標達成のための取り組みを根付かせ、報酬制度等に組み込む
  7. SDGsの達成状況報告は組織発展を促進し、達成度を向上させ、ステークホルダーと協働し、投資を呼び込むための戦略的なツールとなっている


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