catch-img

特定技能の支援業務に着目!自社支援へ切り替える5つの条件と必要な届出

特定技能制度では、外国人を受け入れる企業に対して、外国人が日本社会で仕事・生活するために必要な支援業務が義務付けられています(ただし、特定技能「2号」は対象外)。支援業務は、外部機関へ「全部」もしくは「一部」を委託することが認められていますが、外国人活用が進むにつれて、将来的には自社支援できる体制を整えたいと考える企業が増えています本記事では、支援内容に始まり、自社支援する場合に満たすべき条件や切り替えに必要な届出内容をご紹介します。


なお、自社支援に興味のある方は併せてこちらもご覧ください。



目次[非表示]

  1. 1.支援内容一覧
  2. 2.企業が自社支援できる条件・必要な届出
    1. 2.1.企業が自社支援できる条件
    2. 2.2.自社支援する企業が必要な届出
  3. 3.結局、自社支援と支援委託、どっちがいいの?
  4. 4.特定技能外国人の支援を通して企業が得られること
  5. 5.まとめ



支援内容一覧

特定技能外国人が日本で働き、暮らすために必要な支援業務は全部で10項目あります。各々の実施内容・方法の概要は下記の通りです。


(参考)

出入国在留管理庁. “在留資格「特定技能」について”. 2019-07. https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf, (参照2022-02-22)


さらに、上記支援それぞれには「義務的支援」と「任意的支援」があります。


(説明)

「義務的支援」:必ず実施する内容。1号特定技能外国人支援計画に入れなければならない。

「任意的支援」:加えて行うことが望ましい内容。ただし、1号特定技能外国人支援計画に記載した場合には支援義務が生じることとなる。


具体的に支援業務の違いについて知りたい方は「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」6ページの「第2 1号特定技能外国人支援計画の内容等」を参照してください。


(参考)出入国在留管理庁. “1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について”. 2021-03-30. https://www.moj.go.jp/isa/content/930004553.pdf, (参照2022-02-22)


なお、特定技能「2号」は支援の対象外です。また、技能実習2号などから特定技能1号に在留資格を変更した場合などで、客観的状況に照らして明らかに不要な支援業務は免除されます。




企業が自社支援できる条件・必要な届出

企業が自社支援するためには、1号特定技能外国人支援計画の適正な実施に係る基準を満たす必要があります。次から、自社支援できる条件と必要な届出を紹介します。


企業が自社支援できる条件

受入れ企業が自社支援できる条件は下記5点です。

① 次の(A)から(C)いずれかに該当すること

(A)過去2年間に中長期で外国人(※1)の受入れ又は管理を「適正」に行った実績(※2)があり、支援責任者および支援担当者を選任していること。

(B)過去2年間に、外国人(※1)の生活相談業務に従事した経験を有するものの中から、支援責任者および支援担当者を選任していること。

(C)上記A、Bと同程度に支援業務を適正に実施することができると認めたもので、役員又は職員の中から、支援責任者および支援担当者を選任していること。


(補足)

※1:就労ビザが対象。「留学」、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「定住者」などの外国人は対象外。

※2「過去2年間に中長期で外国人の受入れ又は管理を「適正」に行った実績」について、故意の不正はもちろん、仮に在留資格の更新忘れなどがあった場合も、適正な受入れ又は管理を怠ったと指摘される可能性がある。


(説明)

支援責任者:支援計画の実施に関する責任者。役員又は職員から選任する。

支援担当者:支援計画に基づく支援を担当する者。特定技能外国人が働く事業所ごとに一名以上選任する。

※支援責任者は支援担当者と同一人物でも可

外国人を監督する立場のもの(直属上司)は、支援責任者および支援担当者になれない。なぜなら支援計画には中立性が求められるため。





②    特定技能外国人が十分に理解することができる言語で支援できる体制を有していること。
(特定技能外国人の母国語には限りませんが、当該外国人が内容を余すことなく理解できる言語をいいます。場合によっては翻訳機の活用も可能ですが、例えば込み入った相談・苦情対応などを行うような場合には、通訳人の介在も認められます。)


③    支援の状況に係る文書を作成し、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上保管していること。


④ 特定技能雇用契約の締結の日前5年以内又はその締結の日以後に、支援計画に基づいた支援を怠ったことがないこと。


⑤    支援責任者又は支援担当者が特定技能雇用契約の当事者である外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること。


【補足】

・登録支援機関に「全部」の支援を委託すれば、受入企業はこの基準を満たしていることになりますが、支援の「一部」のみの委託の場合は、受入れ企業自身で基準を満たしている必要があります。


・要件に合致するかの観点のほか、実際に自社支援を行う場合に要する時間・労力・費用も検討する必要があります。


自社支援する企業が必要な届出

もともと登録支援機関へ支援を委託していた企業が自社支援に切り替える際に必要な届出は下記の通りです。


  1. 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11号)
  2. 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
  3. 1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1―17号)


(参考)

出入国在留管理庁. “特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出”. https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00188.html, (参照2022-02-20)


出入国在留管理庁. “特定技能外国人受入れに関する運用要領”. 第7章 特定技能所属機関に関する届出. 2021-10. https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf, (参照2022-02-20)

(第7章「特定技能所属機関に関する届出」の第2節「1号特定技能外国人支援計画に関する届出」(96~98ページ)で詳細を確認できます。)

なお、自社支援を検討の企業で、特定技能外国人をこれから初めて雇用する場合には、状況に応じて必要書類が異なります。下記URLを参考にしてください。

(参考)

出入国在留管理庁. “参考様式一覧”. 2021-02. https://www.moj.go.jp/isa/content/001341971.pdf,  (参照2022-02-25)



結局、自社支援と支援委託、どっちがいいの?


●自社支援が向いている企業

・すべての基準を満たしている

・自社支援を行う場合に要する時間・労力・費用が委託時よりも効率的と判断する場合

・外国人受け入れノウハウが社内に蓄積されている

・自社で積極的にPDCAサイクルを回すことで、外国人従業員を含む組織全体のパフォーマンスを改善したい


●支援委託が向いている企業

・自社単独では満たせない基準がある

・基準はすべて満たしているが、自社支援を行う場合に要する時間・労力・費用を考えると、委託のほうが効率的と判断する場合

・外国人受け入れノウハウが社内に十分蓄積されていない


自社支援が可能かどうか、不足している点があればそれは何か?など、企業それぞれ状況は異なります。詳しく確認されたい方は、お近くの行政書士に相談してみてください。


特定技能外国人の支援を通して企業が得られること

支援業務にかける手間暇を煩わしく感じたり、特定技能外国人を少々甘やかしすぎていると感じたりする方もいますが、特定技能外国人を支援することは、間接的に企業に良い影響をもたらします。特定技能で働く外国人の声を一部紹介します。


  • 初めて技能実習生として日本に来た時は,仕事も生活も覚えることが多くて大変でした。再入国してからは日本の風習,文化にも慣れてきてリラックスして生活ができるようになってきました。(建設分野)
  • 日本に来るまではとても不安でしたが,先輩や上司が丁寧に教えてくれたので,今では頼りにされていてうれしいです。(素形材産業分野)


出入国在留管理庁. “特定技能 ガイドブック ~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~”. 2020-09-29. https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf, (参照2022-02-22)


日本と異なる文化背景や習慣に慣れ親しんだ外国人は、たくさんの不安を抱えて日本にやってきます。例えば、日常生活においては衣食住から異なります。仕事では日本企業ならではのビジネス習慣を初めて経験することになります。しかし、上記のように、最初は不安を抱えていた特定技能外国人でも、生活の土台を整え、職場とプライベート両方に自分の居場所を見つけたことで、日本での生活や仕事に対して余裕や活力が生まれたことがわかります。特定技能外国人を支援することは彼らの活躍や成長、最終的には企業全体のパフォーマンス向上につながります。




まとめ

企業が自社支援するためには、いくつかクリアしなければならない条件がありました。参考となるリンクをつけましたのでご覧ください。

●支援業務の内容を簡単に知りたい

『在留資格「特定技能」について』(出入国在留管理庁)


●どこまで支援内容を充実させるべき?任意的支援と義務的支援の違いを知りたい

『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』1号特定技能外国人支援計画の基準について(出入国在留管理庁)


●支援委託から自社支援へ切り替える際の届出を知りたい

『特定技能外国人受入れに関する運用要領』(出入国在留管理庁)
(第7章「特定技能所属機関に関する届出」の第2節「1号特定技能外国人支援計画に関する届出」(96~98ページ)で詳細を確認できます。)


特定技能外国人を支援する最大の目的は、彼らに能力を最大限発揮して働いてもらうことで、企業全体の生産性を高めることです。その上で何よりも大切なことは、外国人からの「共感」です。外国人が真に活躍している企業は、「支援してあげている」という姿勢ではなく、義務的支援と任意的支援の境を超えて、「外国人が本当に求めていることは何か」を彼ら目線で考えて支援しています。特定技能外国人の仕事に対するコミットメントを引き出す、効果的な支援へと強化されたい方、それを自社完結で効率的に実施されたい方は、弊社までお気軽にご相談ください。